第26回お金コラム 労災保険制度

「お金コラム第21回 日本の公的保険~社会保険~」では日本の社会保険制度を、前回の「お金コラム第25回 雇用保険制度」では労働者を守る雇用保険について紹介しました。労働者を守る保険には「労災保険」もあります。労災保険は、労働者が勤務中や通勤中にケガをしたり病気になったりした場合に、生活を補償するための制度です。今回は労災保険制度について紹介します。

労災保険の成り立ち

労災保険の正式名称は「労働者災害補償保険」で、労働者災害補償保険法に基づいて運営されています。業務中に災害にあった労働者を守ることを目的とした保険制度です。本来、労働中の災害は、雇用している事業主が負うべき責任でした。しかし、産業の高度化などにより労働者が職場で災害に合うリスクが高まるにつれて、事業主だけでは補償しきれないケースも出てきたため、社会保険制度としての労災保険が誕生しました。これは、事業主の補償リスクを軽減するための制度ではなく、あくまでも労働者を保護する立場からできた社会保険制度です。そのため、労災保険に加入するのは、労働者ではなく事業主です。事業主は労働者を雇用したら、労災保険に加入しなければなりません。保険料も全額事業主負担です。

適用対象

労災は、業務災害(業務中のケガや病気)と通勤災害(通勤中のケガや病気)の2種類があります。労働者が通勤時や業務上の理由でケガを負ったり病気にかかったりした場合、給付金が支給されます。労災保険は、雇用形態にかかわらず、すべての労働者が申請できます。ただし、公務員は「国家公務員災害補償法」や「地方公務員災害補償法」が適用されます。

通院と申請

業務中や通勤途中でケガをした場合は、まずは最寄りの病院へ行き、受付窓口で必ず労災で
あることを伝えましょう。健康保険証は不要です。このときに健康保険などの保険証を使用してしまうと、後日、社会保険事務所または健康保険組合に取り消しの申請をし、改めて労災へ切り替えるという手続きが発生し、給付金の受け取りに時間がかかる場合があるためです。治療で発生した費用の領収書は忘れずに保管するようにしましょう。診察後、勤務先の担当部署に受診した病院名などを報告し、労災申請を行うことになります。
このとき、可能であれば労災指定病院や労災病院で受診することをおすすめします。労災補償の請求手続きをスムーズに行えるためです。通常の病院でも受診できますが、10割の医療費を自分で立て替える必要があります。また、労災指定病院や労災病院と通常の病院では、申請書類の様式も異なるため注意が必要です。労災指定病院や労災病院は、厚生労働省のサイトや民間の医療機関検索サイトで検索したり、直接医療機関に問い合わせたりするなどの方法で調べることができます。
労災認定されると、国から給付金が支払われます。労災保険では、ケガの治療費や休業補償、障害補償、介護補償などの給付があります。労災の請求には期限がありますので早急に申請するようにしましょう。

最後に

労災保険制度について紹介しましたがいかがでしょうか。勤務中のケガや事故は無いに越したことはありませんが、もしもそのような状況になった場合の対処方法は把握しておきましょう。
当サイトでは認定ファイナンシャルプランナーによるお金の無料相談も受け付けています。万が一のケガや病気に対するお金の備え方などもお気兼ねなくお問い合わせください。

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