第22回お金コラム 健康保険制度

前回のお金コラム「お金コラム第21回 日本の公的保険~社会保険~」では日本の社会保険制度を紹介しました。そのうち、みなさんにとって特に身近なのは「健康保険制度」ではないでしょうか。日本の健康保険制度は、国民皆保険と呼ばれる公的医療保険制度に基づいています。このおかげで、けがや病気で病院にかかっても自己負担額が少なく抑えられています。
この健康保険、その人の年齢や働き方によっていくつか種類があります。今回は健康保険制度について詳しく解説します。

被用者保険

事業所の従業員とその家族が加入する健康保険です。雇用主と被用者が保険料を分担して支払うことで医療サービスを受けることができます。被用者保険には、健康保険組合(主に大企業の従業員とその扶養家族)、協会けんぽ(主に中小企業の従業員とその扶養家族)、共済組合・共済制度(公務員や私学教員など)、船員保険(海上で働く船員)があります。被用者保険に含まれる保険料の半分は雇主が負担することになっており(労使折半)、所得に応じた給付を受けることができます。
特長的な点は、出産により会社を休んだ場合、出産手当金が給付される点や、病気やけがで3日以上連続して休んだ場合は4日目から最長1年6か月間、傷病手当金を受け取ることができる点です。さらに、本人である被保険者と同一生計の配偶者や親、子どもを扶養家族に含めることができ、扶養家族の有無や人数で保険料が変動することはありません。
なお、退職した場合は被用者保険の被保険者の資格が失われますが、退職後も一定の条件を満たせば加入できる、任意継続被保険者制度もあります。ただし、保険料の納付期限を守らないと保険の資格が取り消しになるため注意が必要です。さらに、一定期間を過ぎると国民健康保険の方が安くなる場合がありますので、詳細はお住まいの市区町村の窓口にお問い合わせください。

国民健康保険

被用者保険や後期高齢者医療制度に加入していない全ての方が対象の医療保険制度です。農家やフリーランス、会社を退職した人などが対象となります。都道府県及び市町村が保険者となる市町村国保と、各業種の国民健康保険組合で構成されています。
また、特徴的なのは、国民健康保険では加入者一人一人が被保険者となるため、被用者保険と異なり、扶養という概念がない点です。保険料は、自治体や国民健康保険組合によって異なるほか、世帯人数や所得などによっても変動します。負担するのは世帯主です。医療分保険料、支援金分保険料、介護分保険料(40歳以上64歳以下の方が対象)の3つで構成されています。
ちなみに、令和3(2021)年に国民健康保険制度に改正が加えられ、全世代対応型の社会保障制度を構築するための法律が公布されました。これにより、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という従来の社会保障の構造を見直し、全ての世代で広く安心を支える制度が目指されることとなりました。

後期高齢者医療制度

かつての老人保健制度に代わり、平成20(2008)年4月に始まった保険制度です。75歳以上の方が対象となる医療保険です。寝たきりの方等の場合は65歳以上から対象となります。これまで国民健康保険や被用者保険などに加入していた方は、75歳の誕生日を迎えたら後期高齢者医療制度に移行することとなります。
窓口負担は、一定基準を超える収入の人は3割負担(ただし、本人と70歳以上の家族の方の収入の合計額が基準に満たない場合は原則2割負担に)、それ以外の方は1割負担となります。

最後に

健康保険について紹介しましたがいかがでしょうか。保障内容などの詳細は、厚生労働省のサイトをご覧いただくか、お住まいの市町村国保の窓口、または加入されている国民健康保険組合又は各都道府県の窓口にお問い合わせください。次回は「年金保険」について詳しく紹介しますのでぜひ併せてお読みください。
当サイトでは認定ファイナンシャルプランナーによるお金の無料相談も受け付けています。各種保険に関することもお気兼ねなくお問い合わせください。

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