第12回お金コラム 源泉徴収票について知ろう

※はじめに※
源泉徴収票には、「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」「公的年金等の源泉徴収票」がありますが、当記事での源泉徴収票は「給与所得の源泉徴収票」を指します。
給与を受け取っている人なら一度は目にしたことがあるはずの源泉徴収票。年末や1月に受け取ることが多い書類ですが、皆さんは源泉徴収票の見方をご存知でしょうか。各項目に何が記載されているのか、どのような場面で使用するのかよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は源泉徴収票について紹介します。

源泉徴収票とは

日本には、あらかじめ所得税を会社が預かっておき、全社員分をまとめて税務署に納付する「源泉徴収」という仕組みがあります。源泉徴収票は源泉徴収の結果を記した書類で、1月~12月の一年間に勤務先から支払われた給与や所得税の額が記載されています。雇用形態に関わらず、給与所得が発生している場合は勤務先から源泉徴収票が必ず発行されます。その年の12月または翌年1月に発行されますが、給与明細と一緒に配布されることが多いので、該当月の前後は忘れずに確認しましょう。ちなみに、紛失してしまった場合は勤務先に依頼して再発行することができます。

源泉徴収票に載る情報

源泉徴収票の各項目にどのような情報が記載されているか見ていきましょう。
なお、源泉徴収票の様式は国税庁のサイトから閲覧できます。
【支払金額】
年収の総額です。給与や残業代、ボーナスなどが含まれます。通勤費や出張の旅費交通費などの非課税扱いの手当は含まれません。なお、退職手当(いわゆる退職金)については別に発行される「退職所得の源泉徴収票」に記載されます。

【給与所得控除後の金額】
支払金額から給与所得控除を引いた額で、所得の目安となります。給与所得控除とは給与所得者に適用される控除で、一定の額を経費として年収から差し引き、納税額を抑えられる制度です。給与所得控除額は給与等の収入金額に応じて定められており、その計算式は国税庁のサイトに記載されています。控除は納めるべき税金

【所得控除の額の合計額】
給与所得控除以外の控除の合計額です。対象となる控除の種類は下記の通りです。
雑損控除/社会保険料控除/小規模企業共済等掛金控除/生命保険料控除/地震保険料控除/寄附金控除/障害者控除/寡婦控除/ひとり親控除/勤労学生控除/配偶者控除/ ひとり親控除/扶養控除/基礎控除
上記のうち該当するものがあると、税金の控除を受けられます。なお、社会保険料のように毎月の給与計算で控除されるものと、配偶者控除や基礎控除などのように年末調整で控除されるものがあります。どの控除が適用されるかは人によって異なるので、源泉徴収票には適用される控除の合計額が記載されます。

【源泉徴収税額】
1年間で徴収した所得税と復興特別所得税の合計額です。下記の計算式で算出されます。
(「給与所得控除後の金額」-「所得控除の額の合計額」)×「課税所得額に応じて決定される所得税率」
なお、「課税所得額に応じて決定される所得税率」は国税庁のサイトで確認できます。

【社会保険料等の金額】
1年間に支払った社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料)を表しています。また、支払った社会保険料は所得控除を受けられます。

【生命保険料の控除額】
生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料のいずれかを支払った際の控除額を表したものです。ただし、年末調整時に申告をしていないと控除されませんので注意が必要です。

【地震保険料の控除額】
地震保険料を支払った際の控除額が記載されます。ただし、長期損害保険契約の控除額を含む場合もあります。2006年度(平成18年度)税制改正により、従来の損害保険料控除が廃止され、より控除枠の大きい地震保険料控除が新設された背景があり、経過措置としての対応です。控除の対象となるのは、基本的に居住用の家屋や家具などの生活用動産が保険対象となる地震保険特約です。そのほかの家財に地震保険をかけていれば同様に控除を受けられます。な地震保険は必ず火災保険とセットで加入することになりますが地震保険料控除の対象となるのは地震保険の範囲のみです。火災保険に関わる部分は対象外なので気をつけましょう。

【住宅借入金等特別控除の額】
「住宅ローン控除(減税)」とも言います。住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合、一定期間、各年末の住宅ローン残高に応じた金額(上限あり)が所得税や住民税の一部から控除される制度です。

【手取り額は記載されない】
ここまで読んでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、源泉徴収票には可処分所得(いわゆる「手取り額」)が記載されていません。「手取り額」は月々の給与明細や振込履歴で確認するとスムーズです。また、下記計算式からも算出できます。

「支払金額」-「源泉徴収額」-「住民税額」-「社会保険料等の金額」
住民税額は毎月の給与明細に記載されている「住民税額」の項目や毎年5~6月頃に職場から渡される「住民税課税決定通知書」で確認しましょう。

源泉徴収票を使う場面

源泉徴収票にどのような情報が記載しているかがわかりました。では、この源泉徴収票はどのようなときに必要なのでしょうか。

【転職時に転職先に提出するとき】
源泉徴収票は年末または年始に発行されますが、年の途中で退職した場合は、退職から1ヵ月以内に発行されます。その後、年内に転職した場合は転職先での年末調整で必要になるため、転職先に提出する必要があります。ただし、提出するのは転職した年の「給与所得の源泉徴収票」のみです。退職金を受け取ったときに「退職所得の源泉徴収票」も受け取りますが、そちらは提出不要です。

【確定申告をするとき】
会社員でも、副業で20万円を超える利益がある人や、医療費控除や寄附金控除などの確定申告でしか適用できない控除を受けたい人は確定申告の必要があります。その際、確定申告書に源泉徴収票の内容を記載する必要があるので保管しましょう。なお、源泉徴収票本紙を確定申告書に添付する必要はありません。

【第三者に収入の証明をするとき】
賃貸住宅の契約や住宅ローンを組むとき、配偶者の扶養に入るときなど、第三者に収入の証明を行わなければいけないときには、源泉徴収票で収入の証明を行います。所得証明書や課税証明書でも収入の証明はできますが、市区町村役場で発行申請をしなければなりません。源泉徴収票を保管しておけばスムーズです。

最後に

源泉徴収票について取り上げましたがいかがでしょうか。もうすぐ今年の源泉徴収票が渡されるかと思いますので、受け取ったら一度内容を確認してみてください。また、収入の証明は急に必要になる場合もあります。そのようなときに備えて、源泉徴収票はなくさないように大切に保管しましょう。

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